被代襲者の配偶者が使い込んでいた、被相続人の預金を取り戻すことができた事例

執筆者
相談者X
被相続人
Aさん(相談者の祖母、90歳で死亡)
相手方
Yさん(生前に被相続人の預貯金を管理していた、被代襲者の配偶者)
預貯金の使い込み
の解決事例
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

相談の経過

被相続人の遺産分割の協議をしていたところ、預金口座で不明な出金が見つかりました。

調べてみると、生前に被相続人の預貯金を既に亡くなっている相続人の配偶者Yさんが管理していたことがわかりました。

預金口座の取引履歴を詳しく確認したところ、管理を始めた時期から多くの高額出金が見つかりました。

そこで、相談者は、被相続人に必要のない出金は本来であれば相続の時に遺産分割で取得できるはずであると考え、Yさんが引き出した預金について、返金するように求めました

ところが、被代襲者の配偶者Yは、被相続人にとって必要な支出であったことや、贈与を受けたものであること等の一点張りで、取りつく島もない状況でした。

当事者同士の話し合いでは、話が進まないと思い、困ったXさんは、今後のことについて、弁護士に相談しました。

 

 

弁護士の関わり

Xさんから相談を受けた弁護士は、まず、預金の出金履歴の内容と、被相続人の生活状況について確認することにしました。

まずは、口座の取引履歴から出金内容がわかるもの・わからないものがあるかどうかを調べ、生活状況についても、病院の診療録等を取得し、生活実態の把握をしました。

そして、Yさんに、管理をしていた時期の被相続人のために支出したとされるものの明細や領収書等を求め、支出状況を把握することにしました。

Xさんから依頼を受けた弁護士は、Yさんに連絡をし、管理の状況について確認しました。

連絡ののち、すぐにYさんにも弁護士が就き、生前の引き出しについての状況説明をしてもらいました。

また、支出したとされるものの領収書についても開示を受けることができました。

これらの状況を踏まえ、Aが預金の引き出しや、贈与をすることができない状態であったこと、引き出しに対応する必要性がなかったことを、丁寧に説明を続けました。

交渉の当初は、Yさんも、被相続人にとって必要な支出であったことや、贈与を受けたものであること、という主張に終始していました。

しかしながら、双方に弁護士が就いて、法的な見通しをつけて、精査した資料を元に主張を重ねることで、最終的には、双方の納得の上で、こちらの提案額の支払いを受けることで解決することができました

 

 

補足

生前の親族の使い込みを争う場合には、出金の時期や、生前の被相続人の生活状況、被相続人の判断能力の変遷など、様々な事情や主張が展開されることは少なくありません。

こういった様々な事情が、複雑に絡み合って、使い込みとされる金額を考えていかなければなりません。

そのためには、まずは、証拠を収集して、その証拠に基づいて相手を説得することが必要になります。

証拠集めは、どこにどのような証拠があるのか、その事案の証拠として何が重要かを判断する経験や知識が必要になり、証拠が破棄されないうちに早期に行動する必要があります。

とくに長期に渡る出金がある場合には、請求をするにあたって、時効が成立している可能性や、証拠を収集するにも金融機関や役所等の保管期間経過により、すでに破棄されていて、資料が取得できないというケースも出てきます

また、医療機関や介護施設、金融機関によっては、相続人の任意の照会に応じてくれないケースや、契約者やキーパーソンの承諾がなけれカルテ等の開示に応じてくれない場合もあり、資料の取得に難航するということも少なくありません。

しかし、協議段階では収集できない資料も、訴訟段階に嘱託という手段で収集できる証拠などもあり、手続きが進むごとに資料が集まっていくこともあります

そして、どのような資料を収集していくか、それを他の資料と組み合わせてどう考えていくのか、仮に裁判となった場合に、裁判所はどのように考えるだろうか、ということは専門的な知識なくしては難しいところです。

また、生前に財産の管理を行なっていた方の場合には、その出金を被相続人の生活のための費用に充てていたということも少なくなく、それに伴った領収書などの資料を出してくることも少なくありません。

そのため、断片的な資料では、見通しも不正確となるため、相手の言い分や、相手からの資料も踏まえて、見通しを立てていくことが大切です。

そのほか、弁護士に依頼することで、相手方にも弁護士が就くことが多く、法的な見通しをもってお互いが話し合いをすることで、スムーズに事案を解決することができることは多々あります。

まずは、適切な見通しをつけることが大切ですので、その分野に精通した弁護士に相談することが解決への第一歩といえるでしょう。

財産の使い込み等について、詳しくはこちらをご覧ください。

相続問題については、当事務所の相続弁護士まで、お気軽にご相談ください。

 

 



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