サポート無 | サポート有 | 利益 | |
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慰謝料 | 0 | 175万円 | 150万円増額 |
Aさんは、5年前に当時学生の男性と出会い、交際を開始しました。
交際してすぐの頃、2人の間には子供ができましたが、当時男性が大学生だったこともあり、子供は諦めることになりました。
Aさんは、男性に対し、きちんと供養してほしいこと、将来的に結婚して欲しいことを伝えました。
男性も大学を卒業したら結婚することを約束し、子供の供養は2人で一緒に行いました。
しかし、交際相手の両親が、Aさんが再婚であり、子供がいることなどを理由に、結婚に反対していました。
それでも、交際相手は自身の学校の卒業とともに、籍は入れずに事実婚をすすめることをAさんに伝え、Aさんも離婚歴があることから法的な結婚にはこだわらないとして、事実婚に賛成し、事実婚について公正証書を作ることにしました。
公証役場への案文の提出、それぞれの身分証の提出等も終わり、公証役場へ出向く日程も決まって、後は出向くだけという状態になっていました。
公証役場へ出向く日程は、交際相手の学校の卒業式の翌日に予定していました。
後は公正証書を作成するだけの状態になっていたので、指輪を一緒に購入しに行き、指輪の受け取りは、交際相手の卒業式の日を予定していました。
学校の卒業式の日、Aさんは指輪を受け取りに行き、交際相手の帰りを待っていました。
すると、突然、交際相手から自宅には帰らないとの連絡があり、そこには関係を解消したい旨の文章が記載してありました。
Aさんの自宅のクローゼットには、指輪の購入代金として、25万円のみが封筒に入って置いてありました。
Aさんは交際相手に何度も連絡をしましたが、音信不通のままでした。
これまで住んでいた自宅も引き払い、就職先の近くに引越をしており、遠方にいることしかわかりませんでした。
Aさんは、とにかく連絡はとれないので、弁護士からの通知であれば回答があるかもしれない、納得のいく説明がほしいと思っていました。
そして、Aさんは、当事務所の弁護士に相談しました。
弁護士は、まずはAさんから話を聞き、代理人として法的にできることは、相手方への婚約の破棄に基づく慰謝料請求であることを説明し、相手方に対して、慰謝料を請求する旨の文書を送付し、損害賠償請求することを通知しました。
これに対して、相手方も代理人弁護士を立てて回答してきました。
回答書には、慰謝料請求には応じられないことが記載されていました。
Aさんは、まず男性が突然いなくなり、何の話もできていない状態であったため、大きなトラウマを抱える状態になっていました。
医師からも、まずはきちんと話をすることが一歩であるとの診断を受けていました。
そこで、当事務所の弁護士は、双方代理人がついているものの、今のAさんの状況を説明し、なんとか当事者間でまずは話ができないか、相手方の弁護士と交渉しました。
そして、オンラインで双方代理人同席のもと、Aさんと相手方は話をすることができました。
当事務所の弁護士は、慰謝料についてもなんとか協議で解決できないか、相手方の弁護士と交渉しましたが、男性は頑なに慰謝料の支払いを拒みました。
そのため、協議での解決は難しいと判断し、損害賠償請求の裁判を申し立てました。
裁判のなかで、相手方の弁護士は、婚約解消の原因はAさんにあり、正当な理由があると主張しました。
既に何度も別れ話をしており、Aさんから半ば脅されていたなどと述べていました。
最終的に、裁判官から、判決になると慰謝料の支払いが0になることはないこと、そのうえで支払いの金額を決めたほうがよいのではないかとの話がされ、金額の交渉を行うことになりました。
そして、現在の原告の状態や、指輪の金額として既に支払いされていた25万円と合わせて200万円となるよう主張し、和解に至りました。
本件の争点について解説します。
婚約破棄による損害賠償請求を裁判所が認めるのは、次の場合です。
本件は、事実婚の約束であり法律婚とは異なっていましたが、しかし公正証書の作成準備や指輪の購入などが行われており、また何の理由も説明されておらず、親の反対が理由であることは明らかな事案でした。
本件では、裁判官には、当方の主張がすべて認められ、相手方を説得してもらい、和解が成立しました。
婚約破棄の慰謝料請求について、くわしくはこちらをご覧ください。
男女トラブルについては、当事務所の離婚弁護士まで、お気軽にご相談ください。