子どもを連れ去られた夫が、子どもの監護権を獲得した事例

執筆者
Tさん
40代/男性
/経営者
相手
40代パート
世帯年収
1500万円
離婚の原因
子の連れ去り
解決までの期間
約1年2ヶ月
親権
面会交流
の解決事例
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

 

サポート無 サポート有 利益
親権 監護権の獲得
面会交流 別居期間中の面会交流の実弁

状況

Tさんは、妻と結婚して子どもが生まれましたが、近年は、妻が家事を怠り、また、子どもの教育方針が合わずに、夫婦喧嘩が多くなっていました。

Tさんは、会社経営者で、時間に融通がきいたため、子育てにも熱心に取り組んでいました。

子どもの食事は妻が担当していましたが、幼稚園の送り迎え、休日に遊びに連れて行くことはTさんが行い、歯の仕上げ磨きや寝かしつけは双方が担当していました。

子どもは、父であるTさんに親和的でした。

夫婦喧嘩は次第に酷くなり、離婚した場合の子どもの親権にまで言及されることもしばしばでしたが、双方、親権を主張していたため、埒が明かない状態でした

そのような中で、妻が子どもを連れて一方的に別居を強行しました

慌てたTさんは、当事務所の離婚弁護士に相談しました。

 

 

離婚弁護士の関わり

当事務所の弁護士は、すぐに、家庭裁判所に監護者指定及び子の引渡しの審判とその保全処分を申立てました

本案だけではなく保全処分の申立てをセットにしていたことで、裁判所は、早めの期日で調整してくれ、審理がスタートしました。

しかし、Tさんの妻も一歩も譲らず、従前の主たる監護者は自分であること、Tさんのモラルハラスメントに苦しんでいたことから別居は正当であること等が主張されました

保全処分が認められなかったことから速やかに面会交流の申し入れを行ったこと

裁判所は、期日で双方の言い分を踏まえたうえで、本件は緊急性まではないと判断しました。

そのため、残念ながら保全は認められず、本案で争うことになりました。

また、本案で争うことになると、子どもはすぐにはTさんのもとには帰ってはきません。

放っておくと、長期間子どもと会えないままになってしまいます。

そこで、当事務所の弁護士は、相手方弁護士に対して、面会交流を申し入れました。

相手方は、面会交流に難色を示していましたが、その原因は、相手方本人が面会交流をさせたら戻してもらえないのではないかと疑心暗鬼になっている点にありました。

そのため、当事務所の弁護士は、当事務所のキッズルームでの面会を提案しました。

当事務所での面会交流であれば連れ去りの危険は払拭されます

その結果、相手方は月に1回の面会交流を了承したので、結論がでるまでの継続した父子交流が可能になりました。

本案で行ったこと

当事務所の弁護士は、①監護実績から従前の主たる監護者はTさんであることをTさんの日誌等の証拠とともに主張し、②主たる監護者から同意なく連れ去った妻の行為は違法であると主張し、早期の調査官調査を主張しました。

当事務所の弁護士は、調査官調査に必要な子の監護に関する状況の陳述書を、依頼を受けた後に速やかにTさんとともに作成していたため、初回期日の前に提出することができていました。

それもあり、裁判所は、速やかに調査官調査を発令してくれました

当事務所の弁護士は、調査官とTさんの面談にも同席し、必要な資料の提出とアドバイスを行いました。

その結果、Tさんが監護者として適格である旨の調査官の意見を得ることができたため、Tさんを監護者として指定する旨の審判を得ることができました。

 

 

補足

本件の争点である監護権について解説します。

監護権について

監護権とは、子どもを育てていく権利のことです。

親権は、監護権と財産管理権からなるため、監護権は、親権の一部です。

子どもを巡る親権の紛争において、子どもの財産管理権が問題になることはあまりなく、親権の紛争は監護権の紛争であることがほとんどです。

監護権を巡る紛争が激化すると生じるのが、同意なき連れ去りです。

同意なき連れ去りが生じた場合には、ポイントを押さえた適切な対処を行わなければなりません。

具体的なポイントは以下のとおりです。

  1. ① 監護実績をつくり、主たる監護者と評価されうる状態にしておくこと
  2. ② 相手方が別居の際に子どもを連れていくことに同意しないこと
  3. ③ できるだけ速やかに監護者指定及び子の引渡しの審判を申し立てること

①と②は、連れ去られる前にその兆候が生じうる状態になったときに行っておくべき対策で、③は、連れ去られた後に速やかに行うべき対策です。

本件では、夫婦喧嘩が絶えず、時には子どもの親権を巡って対立が生じるほどであったことから、Tさんは、当事務所の離婚弁護士のアドバイスのもとで、監護実績を意識的に積み上げました。

また、同意に基づく別居と言われないようにするために、「あなたが子どもを連れて別居することには絶対に同意できません。」とメールで証拠に残る形で妻に伝えてきました

そして、当事務所の離婚弁護士は、Tさんから、監護者指定の審判の依頼を受けた後、すぐに監護者指定の審判と保全処分を申し立てました。

その結果、裁判所は、従前の主たる監護者がTさんであるとの事実認定を行い、子どもを連れての別居がTさんの同意に基づかない形で始まったために違法に始まった監護実績は評価できないとして相手方の主張を退け、Tさんを監護者に指定する形で審判が下されました。

納得できなかったTさんの妻は、高等裁判所に即時抗告を申立てましたが、高等裁判所もTさんを監護者に指定することを是認したため、Tさんは無事に監護権を獲得することができました。

本件において、当事務所の弁護士は、受任してからすぐに監護者指定の申立てを行っていますが、結論が出たのは、1年以上が経過した後でした。

監護権を巡る紛争は、調査官調査等で時間がかかることが多く、その覚悟をもって争う必要があります

離婚問題については、当事務所の離婚弁護士まで、お気軽にご相談ください。

監護者指定について、くわしくはこちらをご覧ください。

 

 



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