突如離婚を要求してきた夫から養育費や財産分与をしっかり獲得したAさん

執筆者
Aさん
30代/女性
/専業主婦
相手
40代会社員
世帯年収
800万円
離婚の原因
性格の不一致
解決までの期間
約4ヶ月
こども
2人
養育費を増額
財産分与
の解決事例
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

サポート無 サポート有 利益
離婚 成立 成立
親権 獲得 獲得
養育費 月額10万円 月額15万円 月額5万円の増額
面会交流 月1回程度 月1回程度
財産分与 0円 300万円支払う 300万円増額
年金分割 なし 50% 50%

状況

Aさんは、5年前に夫と結婚をし、その後2人の子どもを授かるなど幸せな日々を送っていました。

しかしながら、子どもが4歳と2歳の頃、夫から突如離婚の要求をされました。

夫が離婚をしたい理由については、到底納得できるものではなく、当初、Aさんは夫からの離婚の要求を拒んでいました。

もっとも、夫がもともと子ども達に対して興味がなさそうな様子であったことや、Aさんに対する態度も日々悪くなっていたこと等から、Aさんとしても次第に夫との離婚を考えるようになりました。

Aさんが離婚について少し前向きに考えるようになった頃、夫はAさんさんに対し、夫の考える離婚条件を提示しました。

その内容としては、養育費は月額10万円(子ども1人につき月額5万円)、財産分与は実質なしといったものであり、専業主婦で経済力のなかったAさんとしてはとても受け入れられる内容ではありませんでした。

そこで、Aさんも希望する条件を夫に提示しましたが、夫は、Aさんの要求を受け入れようとはせず、それどころかAさんや子ども達に1日でも早く自宅を出るよう責め立てるようになりました。

Aさんは、次第にひどくなる夫の暴言や態度に恐怖を覚え、半ば逃げるような形で子ども達を連れて自宅を出ていきました。

そして、自宅を出た当日、離婚条件や離婚までの手続きの進め方について、当事務所の離婚弁護士に相談をしに来られ、そのまま離婚協議についてご依頼をされました。

 

 

離婚弁護士の関わり

弁護士は、Aさんから依頼を受けてすぐに、夫に対し通知書を送付しました。

内容としては、条件次第で離婚に応じること、別居を開始したので婚姻費用(生活費)を支払ってもらいたいこと、今後窓口は全て弁護士となるのでAさんやAさんの家族に直接連絡をしないでほしいこと等を伝えました。

これに対し、夫も代理人弁護士を立てて回答をしてきました。

回答書には、離婚条件が記載されており、養育費の金額については従前の主張と変わらなかったものの、早期解決を前提に解決金として100万円を支払う旨の記載がありました。

しかしながら、弁護士としては、養育費の金額、解決金(財産分与含む。)ともに適正額を下回ると考えたため、Aさんと話し合い、夫の要求を受け入れず交渉を継続することにしました。

3ヶ月程度交渉を続けた結果、最終的には、養育費は月額15万円、財産分与300万円という形で合意を成立させることができました。

また、合意内容については、単なる合意書のみの作成にとどまらず、公正証書を作成しました。

 

 

補足

本件のメインの争点について解説します。

養育費について

養育費は、基本的には、当事者双方の収入、子どもの人数、年齢等を踏まえ算出されます。

また、養育費の算出には複雑な計算式が必要になるため、「算定表」という簡易的な表を用いて養育費を算出することが多く、裁判所も基本的には養育費算定表を用いて養育費の算出を行います。

しかしながら、算定表だけでは適切な養育費の算出ができないケースもございます。

例えば、子どもが私立学校に通っている場合や特別な医療費が必要な場合など状況は様々ですが、特別な考慮が必要な場合には、算定表による算出だけではなく、その部分についての話合いが不可欠です。

また、算定表を用いるにあたり、双方の収入をどのようにみるかという問題も発生し得ます。

例えば、本事案のように一方が専業主婦の場合や無職の場合などに、収入をそのまま0円とみてよいかという問題です。

このような場合、子どもの年齢やその他の事情から収入を0円とみるべき事案もありますが、稼働能力(働ける能力)がある場合には、その能力に応じた収入があるとみなし、みなし収入を基礎として養育費を算出するとになります。

このように、養育費の算出には、算定表の活用だけでは解決できない複雑な問題が絡む事案もございますので、養育費の適正額を確認したい場合には、離婚問題に精通した弁護士にご相談されることをお勧めします。

なお、おおよその養育費を知りたい場合には、算定表に対応をした養育費計算シミュレーターを利用されると便利です。

養育費計算シミュレーターはこちらをご覧ください(新算定表対応)。

養育費計算シミュレーター

また、本事案のように、養育費を取り決める場合には公正証書まで作成した方がよいケースがほとんどです。

養育費の公正証書について、くわしくはこちらをご覧ください。

財産分与について

財産分与をする場合の流れは、一般的に、①双方の財産資料を開示し、②財産分与対象財産を確定し、③財産の分与方法を決める、という流れになることが多いです。

しかしながら、協議にて双方の同意があれば、本事案のように、①双方の財産資料の開示を行わず、ざっくりと財産分与額のみを定めるという方法もございます。

過不足のない適切な財産分与をするという意味では、①〜③の手続きを厳格に行っていく方法が適していますが、早期解決をしたい、双方が互いに相手方に財産状況を知られたくない、厳格な手続きをすると争点が複雑化しそう(揉める部分が増えそう)などの事情がある場合には、双方にとって①〜③の手続きを経ないことにメリットがある事案もございます。

本事案においても、Aさんと相手方の双方が厳格に財産分与の手続きをしていくことを望まなかったため、お互い相手方のおおよその財産を把握しているという状況で財産分与の交渉をしていくことになりました。

また、財産分与の交渉といっても、離婚問題全体(例えば、婚姻費用を払う側がどちらか、早期解決したい気持ちが大きいのはどちらか等)を踏まえての交渉となるので、本事案では、Aさんに有利に交渉を進めていくことができました。

このように、財産分与については、手続きの進め方によっても解決までの期間や金額に大きな違いが生じ得、本人の希望に合わせて随時適切な方法を選択していく必要があります。

財産分与について、くわしくはこちらをご覧ください。

離婚問題については、当事務所の離婚弁護士まで、お気軽にご相談ください。



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