サポート無 | サポート有 | 利益 | |
---|---|---|---|
離婚 | 不成立 | 成立 | 成立 |
財産分与 | 0円 | 解決金700万円 | 700万円増額 |
慰謝料 | 0円 | ||
年金分割 | 50% | 50% | |
婚姻費用 | 0円 | 月額12万5000円支払う | 月額12万5000円増額 |
Aさんは、11年前に夫と結婚をし、子どもはいなかったものの円満な夫婦生活を送っていました。
夫は正社員、Aさんはパートとして働いていたので家事については全面的にAさんが負担していました。
Aさんは、自身の給与から携帯代や保険料を負担しており、そうすると給与はほとんど残らない状態だったので、生活費は基本的に夫が負担しており、Aさんは生活費(食費と日用品費)として、毎月5万円をもらっていました。
大人2人分の食費や日用品費としては少し少ないと感じていましたが、毎日節約をしてなんとかやりくりをしていました。
ところが、昨年より、夫から「給料が下がったので生活費を3万5000円に減らしてほしい。」との話がありました。
Aさんは、5万円でも足りないと考えていたくらいですが、夫との夫婦関係は良好であったため、給料が下がったという夫の言葉を信じ、自身の独身時代の貯金を切り崩しながらさらなる節約に努めていました。
しかしながら、今年に入った頃から、夫のAさんに対する態度が次第に冷たくなっていきました。
特に夫婦喧嘩をしたわけではなく、Aさんは夫が冷たくなったことに心当たりがありませんでした。
もっとも、Aさんとしてはいつも通りの対応をするしかなく、積極的に話かける等して夫婦関係の改善を試みていました。
そんなある日、Aさんが飲み会から帰った夫の服を片付けていると、夫の服のポケットから風俗のポイントカードが出てきました。
夫は酔っ払って寝ていたため、Aさんは夫のカバンや財布も確認してみると、他にも風俗のメンバーズカードがあったり、精力増強剤と思われる薬(一部開封済み)も大量に入っていました。
Aさんは、夫が冷たくなった理由は、外に女の人ができたからだということに気づきましたが、ショックのあまり、すぐに夫を問い詰めることはできませんでした。
その数日後、夫が女性と電話をしていたため、Aさんから夫に「誰に電話しているの?」と尋ねたところ、夫は「キャバ嬢だ。」と言っていました。
もっとも、Aさんは、夫が浮気をしていることを知っていたため、「外で浮気をしているのを知っているんだよ。」と夫を問い詰めたところ、当初夫は「浮気なんてしてない。」と認めようとしませんでした。
しかしながら、Aさんが証拠もある旨伝えると、夫は急に開き直り、「もうめんどくさい、離婚しよう。」、「また何か言っている。」等とAさんを馬鹿にするような態度をとるようになりました。
また、夫は、Aさんに浮気を指摘された翌日から、朝帰りをしたり無断外泊をしたりと、堂々と浮気をするようになり、自分(夫)の態度が気に入らないなら離婚に応じろと言わんばかりの言動をしていました。
Aさんは、夫が浮気をしたことだけでなく、その後の夫の言動に深く傷つきましたが、夫に対する愛情も残っていたため、我慢すべきなのが離婚すべきなのか、どうずればよいのかわからなくなりました。
しかしながら、夫からの離婚の要求は日に日に大きくなるばかりで、途方にくれたAさんは、当事務所の離婚弁護士に相談しました。
弁護士は、まず、Aさんの気持ちを慎重に確認していきました。
そうすると、Aさんは、離婚をしたくないという気持ちもあるものの、このまま夫と暮らすことはできないし、修復の道も見えないとのことでした。
そのため、Aさんと話合い、「積極的に離婚に応じるわけではないものの、財産分与や慰謝料をしっかりとしてくれれば離婚に応じる」というスタンスで協議を進めていくことにしました。
また、Aさんは、離婚をするか否かに関わらず夫と暮らしていくことは困難と考えていたため、弁護士に相談をしながら自宅を出ていく準備を進め、Aさんが自宅を出ていくタイミングで弁護士から夫に通知書が届くように調整をしました。
そして、通知書を送った後は、弁護士が全ての窓口となり、夫からAさんに対して連絡がいかないようにしました。
また、慰謝料や財産分与、婚姻費用については月額12万5000円の請求もしました。
これに対して、夫は自ら弁護士に電話をして回答をしてきました。
初回の回答では、不貞行為はしていない、財産分与をするなら離婚はしたくないといったことを主張していました。
それに対して、弁護士は、不貞については証拠があること、もし離婚をしないのであれば婚姻費用を支払い続けてもらうこと、Aさんが自宅に戻ることはないことを伝えました。
また、いずれ離婚をする際には、別居時点の財産を分ける必要があり、解決を先延ばしにしたところで財産分与額や慰謝料額は減らないこと等を伝えました。
夫は、財産分与をすることや慰謝料を支払うことについて消極的ではあったものの、離婚するまで生じる婚姻費用の負担を避けたい気持ちが大きかったのか、渋々ではありますが離婚に向けて協力をしてくれることになりました。
そのため、まずは双方財産を開示した上で、財産分与額を確認していきました。
また、合わせて慰謝料の金額も協議をしていったのですが、夫が一部の財産について特有性(財産分与の対象にならないこと)を主張したことや、慰謝料額について100万円以上の支払いに応じなかったことから協議は難航していました。
さらに、Aさんは精神的に疲弊しきっており、金額は低いけれども夫の条件を受け入れて早期に離婚をしたほうが良いのではないかとも考えるようになっていました。
しかしながら、夫が浮気について全然反省した様子がなかったことや、夫の収入資料を確認するとAさんが聞いていた収入より大幅に高かったこと(同居時、夫は収入が下がったことを理由に生活費を下げていましたが、むしろ収入は上がっていました。)、別居直前に風俗通い等で散財をしていたこと、Aさんの今後のことを考えるともらうべきものはしっかりもらっておいた方が良いこと等を話し、弁護士はAさんを励ましながら粘り強く夫との交渉を続けていきました。
その結果、解決までの婚姻費用をしっかり獲得した上で、解決金(慰謝料・財産分与含む。)700万円という形で協議離婚を成立させることができました。
また、年金分割は3号分割が可能であったため、特に夫の合意を得ることなく年金分割をすることでができました。
本件のメインの争点について解説します。
裁判所が離婚を認めるのは5つの場合に限定されています。
すなわち、①相手方の不貞行為、②悪意の遺棄、③3年以上生死不明、④回復の見込みのない精神病、⑤婚姻を継続しがたい重大な事由の5つです。
しかしながら、有責配偶者が離婚を請求する場合には、簡単に離婚請求が認められないことに注意が必要です。
また、有責配偶者から離婚を請求された場合には、どのようなスタンスで交渉を進めていくかが有利な解決を導くためのポイントとなります。
交渉は、様々事情を考慮しつつ行う必要があり経験や専門的な知識が求められます。
弊所には離婚に特化した弁護士が複数在籍しておりますので、有責配偶者から離婚を請求された場合には、まだ離婚に迷われている段階でもお気軽にご相談にお越しください。
有責配偶者からの離婚請求について、くわしくはこちらもご覧ください。