Gさんは高齢の両親と暮らしており、自分の稼ぎだけでは生活費が足らなかったために借金を繰り返していました。
最初は少しだけ借りて返すということが続いていましたが、段々と借金の額が上がり、毎月の支払いが苦しくなってきました。
Gさんは自宅を所有していましたから、自己破産ではなく個人再生をしたいと考え、弁護士に相談・依頼をしました。
ところが、費用の積立やGさんが収集するように言われた資料の提出が終わっているにもかかわらず、なかなか手続が進んでいませんでした。
何度も催促をしても状況が変わらないまま時間だけが経過したためGさんは痺れを切らし、前任の弁護士との契約を解消して当事務所に相談をされました。
当事務所の弁護士は、Gさんが所有している不動産が比較的価値の高いものではないかという疑問を持ち、方針を決定する前にGさんが所有している不動産の査定を取りました。
すると、住宅ローンの残額を差し引いてもなおGさんの借金の大半を支払えるほどの資産価値があるとの結果が出てしまいました。
これでは個人再生をするメリットがほとんど無いと判断したため、可能な限り任意整理で進めた上で、交渉がまとまらなかった場合に個人再生に切り替えることとしました。
当事務所の弁護士は、債権者にGさんの置かれていた状況を説明し、せめて前任の弁護士が受任通知を送付した時点の残高で和解ができないかと粘り強く交渉しました。
そうしたところ、ほとんどの債権者が若干の減額に応じてくれた他、長期の分割を認めてくれた債権者もいくつかありました。
こうして、最終的には100万円近い減額を得た上で、Gさんが毎月支払うことが可能な金額の範囲内で全ての債権者との和解が成立しました。
任意整理では基本的に借金の減額は困難です。
Gさんのケースでは、Gさんに帰責できないような理由で利息がかさんでしまっていたということもあり、当事務所の弁護士が債権者に粘り強く交渉を行った結果、事情を汲んでくれたことが減額の理由です。
その他、任意整理で利息をカットしてくれるようなケースとしては、ある程度の頭金を支払えるようなケースなども考えられます。
しかし、Gさんのようなケースは非常に珍しく、債権者としては、元本のみでの和解に応じることに全く旨みがありません。
何かしら減額してもらえるだけの事情がなければ、和解までの利息を含めた金額がベースとなると考えておくべきです。
任意整理は裁判所を通さない手続きですから、債務整理の対象とする債権者を自由に選択できるといったメリットはありますが、借金の減額幅は他の自己破産や個人再生の方が圧倒的に大きいといえます。
そのため、大幅に借金を減らしたいという場合には、任意整理ではなく、自己破産や個人再生といった手続きを選択することをお勧めします。
任意整理に関する詳しい流れやメリットデメリットについては、こちらの記事をご覧ください。
高額な債務を負っている場合、本来であれば自己破産を選択した方がよいケースが大半ですが、自宅を所有している場合はこの限りではありません。
自己破産をすると自宅は売却されてしまいますから、自宅を手放さなくて済むように個人再生を選択することが一般的です。
しかしながら、自宅や土地の価値によっては個人再生が不可能な場合もあります。
個人再生が不可能な場合がどのような場合かというと、住宅ローンの残額よりも不動産の時価の方がはるかに高い場合です。
建物は築年数がある程度あればそこまで高額になることはありませんが、地域によっては地価が高騰しているところもあります。
通常は固定資産税評価額を基準に不動産の資産価値が判断されますが、地価が高騰していると思われる地域の不動産については、不動産会社の査定を複数取得するように裁判所から指示を受ける可能性が高いです。
査定を基準に不動産の価値が見られる結果、資産をたくさん持っていると判断され、借金の圧縮率が下がってしまう、場合によっては全額返済しなければならないということになってしまいます。
Gさんのケースはまさにこのような事例でした。
自宅を手放したくないという意向が強かったために自己破産は避けざるを得ず、資産価値が高いために個人再生では債務が圧縮できないという状況では任意整理しか選択肢がありません。
一度個人再生の手続きを申し立てた後に任意整理に切り替えるということは難しいといわれていますので、最初の方針選択が非常に重要になってきます。
自宅と一緒に土地も所有しているような方は、個人再生を申し立てる前に不動産の査定を取ってみるといいかもしれません。
個人再生について、詳しくはこちらのページをご覧ください。