3回目の自己破産による借金の返済義務免除に成功した事例

執筆者
Aさん
50代
債務の内訳
総額300万円
資産と収入
資産なし
収入(傷病手当)月約10万円
結果
300万円の免除
自己破産
の解決事例
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

減額前 手続き後 利益
返済総額  300万円 0円 300万円の免除

 

相談時の状況

Aさんは、娘さんと2人で生活をしていたもの、Aさんの持病の悪化により、仕事ができなくなりました

傷病手当を毎月10万円ほど受給していたものの、生活費が足りず、そのために合計300万円の借金がありました

その後、娘さんは就職をしたものの、家計の状況からすると借金の返済はとてもできる状況ではありませんでした。

ただし、Aさんはこれまでにすでに2回破産をしており、その点が心配事でした。

 

 

デイライトの対応

デイライトの弁護士は、Aさんからの相談を踏まえ、3回目の破産は困難かもしれないと考えました。

しかし、Aさんの持病の影響から再就職が難しいことから、借金の圧縮にとどめる個人再生も難しい状況でした。

また、Aさんのこれまでの破産についてもやむをえないものであったため、破産を申し立てすれば免除が認められる可能性は低くはないと考えました。

最終的に、弁護士は破産による借金の免除を試みても良いと考え、Aさんには、破産による借金免除は認められない可能性もあることを説明しつつも、破産の方針で進めることを決定しました。

弁護士は、必要資料の収集及び受領した資料の精査を行いました。

弁護士が資料を精査していると、Aさんには医療保険の解約返戻金があり、原則として裁判所に医療保険の解約返戻金を納める必要があることがわかりました。

そこで、Aさんには、原則として医療保険を解約する必要があること、残す必要があるのであれば、残せるように弁護士がサポートをする旨を伝えました

すると、Aさんは、医療保険を解約しないといけなくなる可能性を理解しつつ、なんとか残せるようにしてほしいということでした。

そのようなお打ち合わせを重ね、ご依頼から約半年後に裁判所に自己破産の申立をすることができました。

自己破産を行うと、予想通り、裁判所から保険を解約して解約返戻金を裁判所に納めるように指示がありました。

しかし、弁護士は、裁判所に対して、保険を解約すると、持病の影響で二度と保険に加入できないこと、保険を解約してしまうと万一の場合には、生活が成り立たなくなる可能性が高いこと、解約返戻金の価値はそれほど大きくはないことを伝えました

裁判所は、弁護士の報告を受けて、医療保険を残しても良いという判断を下しました

その後も手続きを着実に進め、Aさんは無事に免責(借金の返済義務免除)を受けることができました。

 

 

事案のポイント

今回の事案の大きなポイントは、以下の2点でした。

  • 3回目の破産が無事に認められるかどうか
  • 医療保険を残すことができるかどうか
3回目の破産が無事に認められるかどうか

Aさんは3回目の破産になりますので、借金の免除が無事に認められるかどうかも問題がありました。

「何回以上の破産は、借金の免除は認められない」という法律上の規定はありませんが、破産を行う際、「2度と破産をしないようにします。」と宣言している以上は回数を重ねるごとに裁判所の審査は厳しくなります

また、借金の経緯に問題のあるケースは、1度であれば、借金の免除が認められるケースが多いですが、2度同じ理由でとなるとかなり免除をもらうのは厳しい印象です。

そのため、Aさんの件でも、今回の借金の経緯に問題があれば、借金の免除が認められない可能性が高い状況でした。

Aさんの件では、弁護士がAさんに借金の経緯だけではなく、これまでの2度の破産の経緯についても詳細の聞き取りを行いました。

弁護士は、裁判所に対して、Aさんの今回の借金の経緯は、生活費の不足であること、そこには病気というやむを得ない事情があることを丁寧に説明し、裁判所は、借金の経緯から免除を認めても問題ないという判断を下しました。

医療保険を残すことができるかどうか

Aさんは医療保険に加入しており、その保険を残すことができるかどうかもポイントでした。

破産を行うと、積立型の保険は、原則として解約の上、解約返戻金を裁判所に納める必要があります

Aさんの加入している医療保険も積立型であり、裁判所からは医療保険を解約して解約返戻金を納めるように指示があることは予想される状況でした。

しかし、Aさんは、持病があり、加入していた医療保険を解約すると、二度と医療保険に加入できなくなる可能性が低くはないため、どうにかして医療保険を残したいというご意向でした。

弁護士もAさんのご意向については、納得ができるところでしたので、可能な限り裁判所を説得する方針を立てました。

そこで、Aさんからの聞き取りを行い、なぜその保険が必要であるか、医療保険を継続して、解約返戻金を納めなくても、債権者には大きな影響がないこと、医療保険を残せなかった場合のAさんの不利益など医療保険を残す必要性を裁判所に丁寧に説明する書類を資料とともに提出しました

すると、裁判所からは、保険を残しても良いという判断が下されました。

最終的に、Aさんは、3回目の破産が認められつつ、医療保険を継続することができました

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないように内容を編集しております。

なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

 

 



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