Aさん(加害者。男性。)は、久々にあった友人との食事後、飲酒をして気が大きくなっていたこともあり、帰宅中に通りすがりのVさん(被害者。男性。)に因縁をつけ、一方的に殴る蹴るの暴行を加え、地面に倒れたVさんを引きずるなどしました。
上記暴行により、Vさんは複数のあざができたほか、引きずられたことによりかなり深い傷ができました。
相談に入った弁護士は、以上の事実経過を聞かされました。
本件では、Aさんに前科前歴はなかったものの、Vさんの傷が決して軽いものではなかったため、示談が成立しなければほぼ確実に罰金刑は免れず、Aさんに前科がついてしまうことは避けられないという状況に思われました。
そのため、AさんはVさんとの間で示談をする必要があると考えました。
しかしながら、警察は、加害者に対して被害者の名前や住所、連絡先などの個人情報を教えることはありません。
したがって、加害者がいくら示談交渉をしたいと考えていたとしても、加害者本人のみでは示談交渉をすることはできません。
そこで、弁護士はAさんに上記状況を説明し、主にVさんとの示談交渉について事件処理を受任することになりました。
今回、Vさんには上記のとおり重い怪我が生じました。
ですが、それ以上に、何の落ち度もないにもかかわらず泥酔してAさんに絡まれる形で執拗に暴行を受け、その精神的ショックはかなり大きいものでした。
そのため、いくらAさんにとって迅速な示談が望ましいからといえども、Vさんの被害感情を無視したかたちでの示談交渉は絶対にしてはいけない状況でした。
そのため、Vさんの方の被害感情に寄り添い、Aさんの謝罪の意思を誠心誠意伝えて示談交渉を進めていきました。
その結果、被害者の方は示談に応じ被害届も取り下げてくださいました。
上記のとおり、Vさんの怪我は重いものでした。
しかしながら、Vさんとの間で示談が成立し、被害届も取り下げてもらえたのでAさんは不起訴処分(起訴猶予)となりました。
Aさんの初回相談が早かったため、弁護士は事件発生後早い段階から示談交渉を開始することができました。
被害者の方からすれば、事件から比較的時間が経った段階で示談の段階が来れば、「謝罪が遅い。」、「なぜ今更。」といった感情を持たれることが多いです。その結果、示談交渉のスタート段階でつまずくおそれもあります。
また、示談について被害者は慎重に検討したいので時間がほしいと言われる場合も少なからずあります。
大抵の場合は示談交渉中であるということを伝えれば検察官は終局処分を待ってくれますが、いつまでも待ってくれるわけではありません。
そうすると、最悪の場合示談が間に合わずに不起訴処分を獲得できないおそれもあります。
したがって、Aさんのように早い段階で弁護士に相談して示談成立を依頼することが肝要です。
示談する上で重要なのは、自分だけで示談交渉をしないことです。
こちらは加害者である以上、相手方からの理不尽な要求に応じさせられやすく、結果として示談金名目で法外な金銭を支払わされるおそれがあります。
また仮に法外な金銭支払い要求を受けなかったとしても、示談をするにあたっては、将来「示談金を支払った。」、「支払っていない。」や「こういう条件で合意した。」、「していない。」というトラブルが生じないようにすることが肝要です。
弁護士が代理で示談交渉をする際には、双方にとって納得できるような示談条件をアドバイスし、将来にわたってトラブルが再発しないかたちでの終局的解決を図ります。
せっかくお相手と示談をするのであれば、最適なかたちでの示談をすべきでしょう。
専門弁護士に相談されることを強くおすすめいたします。
示談と言えば、被害者から既に被害届が出されていて、示談金を支払う代わりにそれを取り下げてもらうというのが一般的です。
では、被害届が出されていない段階では示談ができないのかといいますと、そのようなことはありません。
今後も被害届を提出しない、という内容で合意してもらうことはできます。
刑事は特に、早急に対応することが重要です。
初動が遅れることで逮捕・勾留されることにつながったり、家族や友人、職場に知られないまま進めることができたかもしれなかったのにそれが叶わなかったりするということもあります。
不安が尽きないことかと思いますが、ぜひ勇気を出して弁護士に相談することをお勧めいたします。
弊所の刑事事件部では、初回無料で相談を受け付けております。オンラインでの相談も対応できることがあります。
また、性犯罪の場合には15分電話無料相談も受け付けております。
ご不安な方は、ぜひご相談ください。