Hさんは、毎日朝早くから夜遅くまで重労働をさせられていました。
特に趣味もなかったHさんは路上で下半身を露出し、女性に見せつけることでストレスを発散することを思いついて実行してしまいました。
Hさんは犯行を繰り返し行っていたため、次第に警察にマークされることとなり、ついに警察に犯行の証拠を押さえられてしまいました。
このとき、Hさんは罰金刑を受け、もう二度と同じことはしないと誓いました。
しかし、罰金刑を受けてから1年も経たないうちに、Hさんはまた同じことを繰り返してしまい、警察の取り調べを受けることになりました。
前回の事件から時間が経っていないこともあり、逮捕されるのではないか、刑務所に行かなければならないのではないかといった不安を抱えたHさんは弊所に相談に来られました。
相談の中で、複数の犯行が特定されており、その全てについて捜査が行われているということを聞きました。
当事務所の弁護士は、罰金を受けた犯罪と同じ犯罪を短期間に繰り返していたことも考えると、1件でも目撃者との間で示談が成立しなかった場合には懲役刑が選択されるのではないかとの懸念を持ちました。
そこで速やかに警察経由で各目撃者に謝罪を申し入れ、示談交渉を開始しました。
また、二度と再犯をしないよう、性依存に関する治療も定期的に受けてもらうこととしました。
目撃者との交渉は順調に進みましたが、どうしても1名のみ一切の接触を持ちたくないとの意向を示された方がおり、全件示談を成立させることはできませんでした。
担当検察官と話をしたところ、当初は全件について起訴をする予定とのことでしたが、複数名の目撃者とは示談が成立していることやHさんの努力を粘り強く訴えかけた結果、実際に起訴されたのは示談が成立しなかった1件のみとなりました。
起訴された事件については執行猶予判決を得ることができ、Hさんが更生する最後のチャンスを残すことができました。
公然わいせつは、社会的な風俗を害する犯罪、つまり社会の性秩序を守るために定められている犯罪です。
そのため、厳密には公然わいせつ罪に被害者は存在しません(社会全体が被害者という見方もできるかもしれません)。
しかし、公然わいせつが発覚するときは、ほぼ確実にわいせつ行為を目撃している人がおり、不快な思いをさせられたという点では何も被害者と変わりません。
そこで、公然わいせつ事件の場合にも、被害者がいる犯罪と同様に目撃者に対して不快な思いをさせたことに対する謝罪等を行うことが考えられます。
検察官によっては「被害者がいない犯罪だから示談をする相手はいない。目撃者と示談をしても意味はない。」という形式的な考え方をする人もいますが、多くの検察官は目撃者との示談を処分結果にきちんと反映させてくれます。
Hさんの事件でも、最終的には示談が成立した目撃者の事件は全て不起訴となっており、目撃者との示談交渉が弁護活動として有効であることは間違いありません。
そのため、目撃者が特定されているようであれば、きちんと謝罪と賠償を行い、不起訴を目指すことが可能です。
Hさんは公然わいせつを繰り返していましたが、公然わいせつに限らず、同じ犯罪を何度も繰り返すということは非常に危険です。
初めての犯行であれば、これからの更生が十分に期待できるという評価をしてもらえ、刑事処分も比較的軽い、もしくは無しで済むということもあり得るでしょう。
しかし、何度も同じことを繰り返している場合、前回厳しい注意や捜査を受けたのにまた同じことをやったということは前回の反省が形だけだったのではないか、ルールを守るという意識が麻痺しているのではないかといった厳しい目を向けられてしまいます。
そうすると、当然想定される刑事処分は重くなります。
単体で見ると相当軽微な事件であっても、過去に同種事件を起こしている場合には実刑となることもあり得ます。
特に性犯罪は再犯率が高く、古い統計では再犯者全体の7割近くを占めているという結果も出ていますから、目の前の事件を解決することだけでなく、再犯に及ばないようにすることも重要といえます。
参照:平成27年度版犯罪白書
そのため、示談交渉等によって不起訴を目指すだけでなく、事件が終わった後のことも考えてくれる弁護士へ依頼をするべきです。
当事務所では、性犯罪の事件で示談による不起訴を目指すだけでなく、その後再犯をしないように治療などにも取り組んでもらうようにしています。
刑事事件でお困りの方は、刑事事件に注力する弁護士が複数在籍する当事務所に、ぜひご相談ください。
公然わいせつの事件について、詳しくはこちらもご覧ください。